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La Vie d'un Guide

山の男! 江本悠滋のBLOG

アシスタントガイドってなに??

自分の職業は【山岳ガイド】なのですが、この山岳ガイドってどんな職業ってのはきっと
言葉から読み取れると思うけど『具体的に?』と成れば余り理解されていないかも。

ましてやガイドである自分ですら日本のガイドシステムが良く解らないのですから・・・
ガイドを利用する/しない人には正確にどんな仕事だったり伝わるわけないですよね。

それで今回は今の自分のガイド制度の疑問に関してです。
それが【アシスタントガイド】ってのです。

そこで、社団法人日本山岳ガイド協会に問い合わせたら以下の文面が送られて来ました。



平成20年6月17日理事会承認

「山岳ガイド分野の登山・登攀ガイディングにおける研修助手」制度

社団法人日本山岳ガイド協会
検定審査委員会
国際部会
平成19年度6月1日施行
平成20年6月17日改定(案)

社団法人日本山岳ガイド協会の認定ガイドがそのガイド業務(ガイド登山、スクール、登山学校の講師・インストラクター等含む)において助手を雇用することに関する規定として制定する。
ガイド業務において職能範囲を超える場合、そのガイド資格者の監督・責任下でガイド業務の助手をする場合の「山岳ガイド研修助手」また無資格者が認定ガイドの監督・責任下でガイドの助手をする「一般山岳ガイド助手(山岳ガイド見習い)」と分けられる。
いずれも実務的な研修ができ将来の正ガイドとして期待できる。

1、国際山岳ガイド研修助手
国際山岳ガイド連盟加盟国において3年以上の国際山岳ガイド実務経験者の責任下(同一行動)で国際アスピラン・ガイドの海外ガイド経験を補完する目的があり雇用する場合。
・別紙「国際山岳ガイド研修助手・申請書」を国際部会に提出し許可を得ること。
・主たる責任ガイド1名に対し国際アスピラン・ガイドは山行ごとに1名までとする。
・国際アスピラン・ガイドと顧客の人数比は1対1名までとする。
・募集要項等に国際アスピラン・ガイドの配置をする旨の告知をすること。

2、国内山岳ガイド研修助手(本会会員)
国内ガイド業務においてその研修助手の職能範囲を超える場合でガイド経験を補完する目的があり雇用する場合。
(例)国際山岳ガイド、国際アスピラン・ガイド、登攀ガイドが行う国内ガイド業務に山岳ガイドを研修助手として雇用する場合。
(注)現上級登攀ガイドは、2008年度中に登攀ガイドに呼称統合される。
・ガイド業務中は主たる責任ガイドと山岳ガイド研修助手は同一行動をすること。
・主たる責任ガイド1名に対し山岳ガイド研修助手は山行ごとに1名までとする。
・山岳ガイド研修助手と顧客の人数比は1対1名までとする。
・募集要項等に山岳ガイド研修助手の配置をする旨の告知をすること。
3、国内一般山岳ガイド助手(本会会員外)
弊ガイド協会認定の山岳ガイド分野のガイドを助手として雇用することが望ましいが、将来のガイド候補生を養成する等の明確な理由により無資格者(弊協会の準会員、弊協会の検定試験を受験中の者、非会員)を雇用する場合。
・ガイド業務中は正規ガイドと一般山岳ガイド助手(山岳ガイド見習い)は同一行動をすること。
・正ガイド1名に対し一般山岳ガイド助手(山岳ガイド見習い)は山行ごとに1名までとする。
・一般山岳ガイド助手と顧客の人数比は1対1名までとする。
・募集要項等に一般山岳ガイド助手(山岳ガイド見習い)の配置をする旨の告知をすること。
以上


この改定された新制度は平成20年7月1日より施行する。
平成20年7月1日~平成21年3月31日までを周知期間として指導・勧告する。
平成21年4月1日から違反者は罰則対象とする。


ガイド助手制度を利用しての登攀ガイド義務受験者講習推薦免除について:
ガイド助手を継続して20日間を超え、助手を雇用した正ガイド(責任ガイド)により、当会が定める義務講習各科目の経験を十分に満たすと認められる場合、「義務講習」各科目に推薦免除の申請を行なうことができます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして国際山岳ガイド助手(海外でのガイド業務)は書類提出の許可制に成っているのに
対し、国内ではそういった提出や許可などは不必要と言う事です。

自分の今の最大の疑問は国内で活動する多くの協会所属ガイドはガイドに成るための研修や
資格試験を受けずガイドに成り資格制度が整いつつある今も同じようにガイド業務を行なっ
ています。このことはおいておいて。

これらのガイドがさらに【個人的判断でアシスタントガイドを定め】、そのアシスタントガ
イドに顧客を預けロープを結び合わせ、さらには顧客からガイド料をきちんと頂くと言う事
が許されている現実が疑問なのです。

やはりゲストがガイドを雇う最大の理由はもちろん【安全】だと思います。
しかし、この【安全】は絶対的な安全では有りません。実際は【可能な限りの安全】をゲス
トはガイドに依頼する事になります。

しかし、その依頼先が社団法人日本山岳ガイド協会所属のガイドであり、その個人が個人的
な基準でガイド資格を持たない人をアシスタントガイドとしてゲストを預ける事に対する責
任は何処に生じるのでしょうか?

これに対する答えは『徒弟制度みたいなもので、ガイドを信頼するしかありません。責任は
当然、雇い主側にあります。但し、このような制度を策定し認めている協会側にも道義的な
責任の一端はあるでしょう。』
※ここでの雇い主とはアシスタントガイドを定めそのアシスタントガイドを雇うガイドの事
です。

もしかすると今までにこうした環境での事故例が無いかもしれませんが事故が起きた場合は
どうしてるのかと思います。

【責任】を取ると言っても保険の問題も、治せば治る事ならともかく治せない場合もあるで
しょう。その時どうするの?それは事故?ガイドの過失は?と成ってどう理論展開できる
のか?

僕の頭では無理です・・・。

この事で1つだけ解るのは現在はガイド協会ではガイド資格試験は有ってもガイドを育成す
るカリキュラムは有りません。それもどうかと思いますが・・・。

そこでガイド個人がアシスタントとして【見習い】をさせて育てるのであれば、やはりそこ
に《ガイド対クライアント》としての業務契約(ガイド料の発生)が有るのはおかしな話し
だと思うのは、おかしいかな?

最近は先日もBLOGに書いた八方稜線の看板のように世間では日本山岳ガイド協会所属のガ
イドが有資格ガイドとして見られるようになり、それに対する押し風も有ります。
だからこそ、きちんとしたガイドルールやガイドのシステムを整えないといけないのではと
感じています。
  1. 2009/05/12(火) 17:49:58|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

同感!

私も疑問に思っていた事でした。日本には、全てのスポーツにおいてフランスなどの様に「国家資格」なるものがありません。各団体が作った基準での資格になります。面白い事に、お話にあったように国内では「日本山岳ガイド協会」の資格=国家資格の様な流れがありますが、長野県に関しては「長野県山案内人」という資格があります。長野県でガイドをするのならば、この資格があれば全てOKです。はっきり言うと、山岳ガイド協会の資格を持っていても下の資格では制限がありますが、長野県の資格ならば制限はありません。クライアントはどちらを選ぶか?
私の場合は、アシスタントを使う場合もありますが、その場合私のガイド料金の中から払います。メインな事はさせません。
日本山岳ガイド協会も高い会費を徴収しているのですから、もう少ししっかりとして欲しいものですね。HPなどの会員名簿も19年度のままですし、沢山のクライアントの方も見ているのですから、ガイドの活動や育成のレポートなども公開して欲しいものですね。資格取得の方法しか出ていませんので。ガイドを沢山作っても、スキー修学旅行の自称イントラ(インチキインストラクター)と近いものになってしまいます。
何だかなーって感じですね!
  1. URL |
  2. 2009/05/13(水) 18:55:21 |
  3. hatakichi #su7LfdQk
  4. [ 編集]

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