残念な出来事が起こってしまった。
このBLOGを見ている人の多くはたぶん14日に起きた八甲田の事故の事を知っていると思います。
今、自分達に伝わるって来る事はニュース等の報道からの情報です。
でもその少ない情報と今まで自分の中に有ったある《思い》を書きたいと思います。
まず、今回の事故で自分が職業とする《ガイド》が関わっている事。そのガイドに付いて、そして事故の原因である《雪崩》に付いてです。
今回の事故とは関係ないかもしれませんが、日本ではガイドと言う言葉が一人歩きし誰でもガイドと名乗れてしまいます。だから何がガイドで何がそうでないかと言う線が明確では無いです。
フランスは国家資格でガイド資格を取得した人しか山に人を連れて行くのにお金を貰うことは出来ません。スキーを履いても同じです。スキー指導員はスキー技術を教える資格であって山に人を案内する資格では無いのです。なので自分がフランスで生活していた時は《ガイド》と《スキー指導員》の2つの立場を行き来していました。
では日本ではどうでしょうか?国に定められた規則が無いために、ある意味《誰でも》人を山に連れて行きお金を貰う事ができてしまいます。もちろんその《誰でも》の中でスキーが上手であったり地元の地形を知っている、など各個人のスキルは違いますが、やはり《ガイド》とは何かと言うのが問題だと思います。きっとゲストも上手なスキーヤーと滑る方が楽しいと思いますし、場所を良く知った人を行く方が安心できると思います。でもガイドってそれなのでしょうか?
1番はグループをより安全に目的を果たす事だと思います。
《より》安全にと言うのは100%の安全は無いからです。
雪が有れば雪崩も起こるし、転べば怪我もする、視界が無く成れば行動速度は遅くなる。こうした可能性は常に有るのです。だから、ガイドの仕事はより100%の安全に近づけるよう予測したり予防したり、様々な情報を収支して判断し、行動する事だと思います。
月刊スキージャーナルの編集長が言う『予測は難しかったと思う』と言うコメントが出ていますが、雪崩は起こるか起こらないかを予測する事は不可能です。と言うのも自分がENSA(フランス国立スキー登山学校)で勉強していた時はスイスの研究者から《雪崩が起こる確立の計算》と言うまさに雪崩を予測する計算式を学びました。これは斜面の向き、傾斜、滑られる頻度、気象台が出す雪崩注意レベル等を数字で表して計算すると言う物で、当時スイスは全てこの計算式にもとずき《予測出来た雪崩か予測できなかった雪崩》かを判断していました。
しかし、近年ENSAでは《雪崩は雪が有れば起こる。雪崩が起こっても対処できるように》と言う雪崩を《予測》するのでは無く大きな事故に成らないよう《予防》するように、と言う方針に変わりました。
確かにその通りだと自分でも思います。日本で行われている弱層テスト(ピットテスト)も雪の層は同じ斜面でも場所が数メートル違えば違うの、それをしたから雪崩が起きないか確実に判断出来るわけでは無いのです。なので、雪崩が発生した時にどう対処できるかを考えて行動すると言う事です。
事故はどれだけ気を付けても100%回避出来る物ではないと思います。しかし、知識や経験、技術を身につける事でより100%に近づける事は出来ると思います。
そして最も多くの人が命を落とす可能性が高い場所《山》に国がしっかりとした制度を作るべきだと思います。
- 2007/02/15(木) 22:41:50|
- 一言もの申す!
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